いざ、現地校へ

娘は4歳と10か月で日系幼稚園から現地校へと変わりました。イギリスではまずReceptionから始まります。義…

娘は4歳と10か月で日系幼稚園から現地校へと変わりました。イギリスではまずReceptionから始まります。義務教育は翌年のYear1からですが、殆どのお子さんはReceptionにも行きます。もちろん、ナーサリーから来られているお子さんもたくさんいらっしゃって、そのままReceptionに進まれる方もいます。娘が行った学校も、ナーサリーから上がってこられた方がたくさんおられました。比較的日本人の方の多い地区に住んでいたので、日本人の方も数名おられました。

私の家族は夫のロンドン駐在に、娘と私が帯同する形で渡英しました。そうすると、国際結婚をされて渡英される方とは少し違いが生じます。まず、国際結婚であれば日本とイギリスの両方に、パートナーの家族や親せき、友人がいることが多いのではないでしょうか。しかし駐在員は、基本的には知り合いは会社関係の方のみという状況で渡英します。何を申し上げたいかというと、全然知り合いもいない状況で外国に引越して、生活の拠点を移すということです。そして両親が共に日本生まれ日本育ちであれば、自分たちの経験したことのない教育課程を子供たちに歩ませるということです。それが、難しかったです。なぜなら、自分が経験していれば上手くサポートも出来たでしょうが、自分が経験したことのないことを子供たちが歩んでいくわけですから、学校で何が起こっているかも分かりませんし、サポートをしたくても、何をしてあげたらいいのかがなかなか分かりづらかったのです。もしもどちらか一方がイギリスの教育課程を経験していたら、きっともっと上手にサポートできたのではないかと思います。

現地校に入学するにあたって、学校を訪問し、娘と私は簡単な面談を受けました。そして私が説明を受ける間、娘は先生に連れられて音楽の授業に参加させていただきました。日本人が多い地区ということもあり、先生方は慣れた感じで、英語を全く話さない娘の手を引いて、終始にこやかに娘に接してくださいました。娘はどこに連れてこられたのか、今から何が起こるのかも分からず、少し不安そうにキョロキョロしていましたが、好奇心の方が勝ったのか嬉しそうに階段を上がっていきました。私は内心、娘の度胸に感心しながらも大丈夫かな、と心配になりました。

その時です。私は子供のころ、「バイリンガルっていいな~。だって、外国に暮らせて、しかも英語も自然に身につくんでしょ?羨ましいな~。」と思っていたことを急に思い出したのです。そしてその記憶は、自分の考えがいかに浅はかだったかを思い知らすには十分すぎるものでした。全く英語が話せない状態で入学した娘が、どんな風に学校生活を送っていくのかを想像し、自分の考えの甘さを認識しました。

娘は日系の幼稚園に通っていた時、朝は8時過ぎに学校のバスに乗り、午後は3時過ぎに帰宅していました。帰宅後はお家でオヤツタイムをして、お天気が良ければ近所の公園へ遊びに行ったりします。体力はある方だったので、4時から6時くらいまで、公園の遊具で遊んだり走り回ったりしてたくさん身体を動かしました。しかし、Receptionに入ってからは違いました。帰宅後はおやつを食べたらぐったり疲れてお昼寝してしまうのです。あんなに体力があったのに、まだ慣れないからかしら、と思ってみていましたが、どうやら体力よりも精神的に疲れているようでした。

確かに、想像するとしんどそうです。朝から夕方まで、全く分からない言語の中で生活するのです。もちろんいろんな課題が出ます。でも、先生の言っていることが分からないから何をしたらいいのか分かりません。周りを見ながら真似して取り組んだり、幸いにもナーサリーから来ている日本人のお友達が通訳して教えてくれたり、助けを借りながら一日を過ごすのです。慣れない環境で、知らない言語で生活をする。それは不安と緊張の連続だったでしょう。しかも、自分の言いたいことも伝えられないのです。

バイリンガルは自然になるものではない、そう思いました。少なくとも、娘のケースはそうでした。生まれた時から、家庭の中に複数の言語が飛び交って、同時に習得していくのなら、自然に身につくと言えるかもしれません。しかし、娘のように、母語がある程度確立し、その後に他言語の環境に意図的に身を置いてその言語を習得しようとする。それは、自然に身につく、という表現は当てはまらないと思います。英語という言語を朝から夕方まで浴び、少しずつ耳が慣れてきて、毎日何度も聞く言葉を少しずつ認識する。そうして語彙が分かるようになってきて、それらが増えてきてようやく、少しずつ聞こえてくる、理解できるものが増えてくるのです。そこに至るまでには、相当な苦労と努力が必要なのです。実際、娘が英語を話し始めるまでには相当な時間がかかりました。娘は比較的社交的で物おじせず、失敗しても平気です。失敗しても笑いながら何度も挑戦します。そんな彼女でも、なかなか話し出すには至りませんでした。ここでは娘の成長過程について記していきますが、これはあくまで一例です。移住した時の子供の年齢や性格によって、全然違うものになるでしょう。

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